「サンドパン」と言えば、新潟県生まれの人なら「コッペパンにバタークリームがはさんであって、レトロなデザインの袋に入っているやつ」と答えるだろう。
ところが、県外の人はどうも、コロッケなどをはさんだ調理パンや、サンドイッチ風のパンなどを思い浮かべるらしい。
子供なら、人気アニメのポケットモンスターに登場するNo.028のポケモンだと答えるだろう(笑)。
ところで、「サンド」には「挟む」という意味がない。サンドイッチの省略であり、もともとは18世紀のイギリスの貴族の名である。欧米人なら「砂パン」(sand bread)か「砂鍋」(sand pan)だと思うだろう。
「上越タウンジャーナル」が総力をあげて調査したところ、「サンドパン」を売っているパン店は県内各地に点在していて、最近は「懐かしい郷土の味」として帰省の際に買い求めていく人や、土産として買う人が多いという。不思議なことに、新潟県以外ではこちらのようなサンドパンが、まったく存在しないのだ。
上越市には1日平均1200個を製造・販売している小竹製菓(南高田町)があり、「小竹のサンドパン」として上越市民のソウルフードになっている。市内ではほかに2店が販売しており、「サンドパン」は上越を代表するご当地グルメ、B級グルメと言えるのではないか。
小竹製菓は1926年(大正15年)に菓子店として開業し、1953年(昭和28年)に菓子パン部門を設置した。このころから学校給食が始まり、庶民にパン食が普及していく中で、サンドパンは生まれたようだ。
なぜバタークリームを塗ったコッペパンだけが、新潟県内で「サンドパン」として呼ばれるようになったのかは分からないという。「当時、県のパン組合で取り組んだかもしれない」と小竹加洋子店長は話す。
同店のサンドパンは、夏と冬でバタークリームの口どけ感を同じにするため、材料の融点を同じに保つ工夫をしているという。バタークリームは30gほどたっぷり使い、半分に切ったパンの両面に手塗りしている。中央に偏ることがなく、はじまで均一に塗ってあるのがおいしさに反映している。パンは添加物を一切使っていないので、袋の封を切ると小麦本来の風味がいっぱいに漂う。柔らかいだけではなく、しっかり感があり、バタークリームとの相性は抜群だ。
上越市内では小竹製菓以外に、岡村製パン店(寺町2)も「サンドパン」を販売している。日清パン(西本町3)では「パインクリームサンド」という商品名であるが、以前はサンドパンとして販売していた。30年ほど前に他店と差別化するために干しパインをバタークリームの中に入れ、現在の商品名になったという。
◆新潟県内(上越以外)の主なサンドパン◆
*コメントと写真は、県内各地のブロガーによるものです。
【下越】
▼「パンのカブト」(新潟市中央区)
「素朴なコッペパンに、なんだか妙に懐かしい味のバタークリームが、た~~~っぷりとサンドされている昔ながらの味を楽しめます」(ヤッペママさん)
・本店(中央区女池) 025-283-4741
・CoColo万代店(新潟駅構内)025-248-1138
・本町店(中央区本町通) 025-229-5455
▼ホームベーカリー中村屋(燕市宮町)
「昔ながらのコッペパンで外はカリッと中はモチっと、噛むほどに小麦本来のいい味がします。サンドされているクリームが絶妙で…美味しくて止まらないです」(わたなべサイクルさん)
0256-62-3819
▼ファランドール早通屋(三条市本町2)
「ふわふわでもちもちってしたパンにおいしいバタークリームがサンドしてあって本当においしい」(茶々さん)
0256-33-1420
▼木村屋パン店(阿賀野市笹岡)
「学校や病院の売店ではおなじみで、簡単な包装にもその味わいにもなつかしさが一杯でふと思い出しては食べたくなります…。手作りなのでたくさんはありません。午前中の早い時間に行かないと売り切れます」(情報画廊さん)
0250-62-3477
【中越】
▼玉勘(長岡市栃尾)
「子供の頃に食べた懐かしい味が蘇ります。栃尾生まれ、栃尾育ちではありませんが…。ワタシ流の『栃尾の美味い物』です」(「日々是好日」より)
0258-52-2545
▼内山パン店 (南魚沼市六日町)
「実家においてあった食べ歩きの本を頼りに、六日町の駅前通りにある『ウチヤマパン』へサンドパンなるものを求めて立ち寄ってみた。想像を絶するような柔らかさにほのかに甘いバタークリームがぴったり。ついつい2個、3個と食べちゃうね」(mikipomさん)
025-772-2006
▼フレンドリー高橋(十日町市下条)
「ここはなんといってもサンドパン!!袋に牛のイラストが描かれている通称『牛パン』でしょう。素朴なコッペパンの間に多すぎず少なすぎずの絶妙なクリーム。日によってはパンがなんともふわふわでおいしさ倍増する時があります。お子様のおやつや田んぼ仕事の休憩時に、少なくとも20年前くらいからは存在するであろう老若男女みんな大好きな十日町の隠れたソウルフードなのです」(ドンマイ侍さん)
025-755-2702
▼ベーカリータキザワ(小千谷市平成2)
「ほんとにパンが柔らかく、ふわふわ。 あっという間もなくなくなってしまいます。甘いんだけど、軽いですねえ。お土産に持って帰ろうと思いましたが、一つに手を出したら止まらず、結局、ぜんぶ食べてしまいました」(くろたかまるさん)
0258-82-2265